フランス1950年代頃、漆黒のガラス製ネックレスです。(フレンチジェット)
1861年、イギリスのヴィクトリア女王の夫であるアルバート公の死後、長い間喪に服していた時に身に着けた漆黒のジェットジュエリーがイギリスをはじめとしたヨーロッパ中に流行しました。
松や柏の木の化石であるジェットは黒い琥珀とも呼ばれ、そのほとんどがイギリスの一地方で採掘されていましたので、大変な高級品。
一般の人たちには手が出ないジュエリーでしたので、それに変わる代用品として使われたのが、不透明な黒ガラスでした。(フランスで作られたものはフレンチジェットと呼ばれます)
話は逸れますが、小説レ・ミゼラブルのジャン・バルジャンはこの黒ガラスのジュエリーの製造と売買で莫大な財をなし、町の貧しい人々のためにも尽力しました。
ヴィクトル・ユーゴーがラ・ミゼラブルを執筆したのは1862年ですので、その頃にはすでに黒ガラスジュエリーの工場が盛況であったということですね。
イギリスBBCのドラマ版で、コゼットの母ファンテーヌがジャン・バルジャンの経営する工場で働く場面で、黒い数珠のロザリオを編んだり、ネックレスやブローチを女工たちが作っているシーンが度々見られました。
若い女工たちが黒いガラス球に紐を通している場面もとても印象に残っています。
こちらのネックレスはもちろんそれほど古いアンティークではありませんが、多面カットされたガラスの角が丸みを帯びていたり、小傷があったりと味わいたっぷり。
クラシカルな留め金具も素敵です。(カチッと音を立ててしっかりと留まります)
長さは44cm、雫型ビーズは1.7cm、小さなビーズは0.5cmほどとなります。