ひと粒の涙を流す「悲しみの聖母」。フランスの1900年代初頭頃のシルバー製メダイです。
リングを通す穴の横の小さな凹みがフランスのシルバーを表すホールマーク。
左側のJとBを組み合わせたモノグラムは、製作工房の刻印です。
大きさは直径1.7cm。瞳からこぼれ落ちる涙や衣からのぞく指先も繊細に表現されています。
「悲しみの聖母」とは・・・17世紀のイタリア・フィレンツェの宗教画家カルロ・ドルチの絵画作品「悲しみの聖母」。ドルチが残した同様のモチーフの中に、衣の先から親指をのぞかせている聖母の絵がありますが、このメダイはそちらをモチーフにしたお品。(親指の聖母とも呼ばれます)

上の画像の「親指の聖母」は18世紀始めに当時の宣教師により日本に持ち込まれたもので、上野の東京国立博物館所蔵の重要文化財となっています。
(ドルチの数ある作品の中の一つが日本に持ち込まれたと言われています)

(キリシタン関係図版目録の表紙も飾っています)
東京国立博物館では、16世紀から19世紀にかけてヨーロッパから日本に渡ってきたロザリオやメダイも含め貴重なキリシタン関係の遺品が定期的に展示されています。機会がありましたら見に行かれてみてはいかがでしょうか。