信心深く慈愛に満ちた母親として敬愛される、聖アンナの19世紀のメダイです。
聖マリア(キリストの母マリア)と、その母の聖アンナ。
こちらは有名な「少女マリアに読み書きを教える母アンナ」の場面。
本を手にするマリアの背中に母アンナの手が優しく添えられています。
新約外典「ヤコブによる原福音」による伝承では、アンナと夫のヨアキムは老齢に達するまで子供がなく、初めての子供を授かることを天使から告げられました。
アンナは子供を神に捧げることを約束し、3歳に達したマリアをエルサレム神殿に奉献し神に感謝したそうです。
ヨーロッパや北米では聖アンナは大変人気のある聖人の中のひとりで、聖アンナに捧げられた教会や聖堂も多数存在します。(出産の守護聖人としても知られています)
聖アンナに捧げられた教会では、北米最大の巡礼地であるカナダモントリオールのサン・タンヌ・ド・ボープレが有名ですが、フランスではブルターニュ地方のオーレという町のバジリカがヨーロッパにおける聖アンナ信仰の最大の巡礼地として知られています。
反対面に刻まれているのはロザリオの聖母(聖母子)。
向かって右には聖母マリアからロザリオを授かる聖ドミニコ(1170-1221)、左側は幼子イエスからロザリオを授かるドミニコ修道会のシェナの聖カタリナ。
下部には「L. PENIN A LYON」の刻印入り。
フランス・リヨンで、1800年初頭から4世代に渡って芸術作品のようなメダイやクロス、彫刻を作ってきたPENIN家の刻印です。
こちらのメダイは2代目の「L.(ルドヴィック)PENIN(1830-1868)」の刻印で、彼の時代に宗教的にも価値のある素晴らしい作品が多数作られました。
その高い芸術性が認められ、当時のローマ教皇ピウス9世(在位期間1846-1878)から、1864年に「教皇の彫刻師」という名誉が与えられたそうです。
素材は銀ではなく白銅のようなずっしりとした金属。
大きさは直径3.2cm(メダイとしては最大級)、重さは14gあります。